東京高等裁判所 昭和57年(ネ)161号 判決
破産会社は本件弁済をした際に控訴人から、破産会社がそれまでに控訴人に対し右弁済にかかる貸金債務を含む前記貸金債務合計三億余円の譲渡担保のため交付していた前記約束手形二二通額面合計二、一九五万五、〇〇〇円の返還交付を受けたこと、右手形二二通は破産会社が訴外泉総合建設株式会社外二名から融通手形としてその振出を受けたものであることは前示のとおりである。したがって、破産会社は控訴人から右手形二二通の返還交付を受けたことにより訴外泉総合建設株式会社外二名に対する右手形金相当額の債務を免れるに至ったものということができる。しかしながら、本件弁済により破産会社の破産債権者の共同担保がそれだけ減少したことは明らかであり、他方、右手形二二通は融通手形であって、破産会社がこれについてその手形金の支払いを受けることはできないものであるから、本件弁済は、右手形二二通の返還にもかかわらず、破産会社の財産の価値を減少させるものであることは明らかである。
(岡垣 磯部 大塚)